氷の世界('99.10〜'99.12 月曜9時 フジ)


 あの「眠れる森」を作った野沢尚の作品、今度は月9でやはり本格ミステリ。キャストも注目してる面々が集まっており、見応えがありました。真実は是非ドラマをじっくりと見て、解き明かしてもらいたいと思います^^。


氷の世界 最終幕 75分拡大版最終回スペシャル(99/12/20)

 生命保険の本来の在り方。本来の形。愛の形。今の世界にどれほど息づくのか。氷のような世界で、人間は何を拠り所にして生きるのか。お互いを必要とすることで、それを拠り所に生きて行くしかない。今、愛に迷った男と女が、その一つの形を見つけだそうとしている。行く手に何が待ち受けようと、必ずそれを手に入れる、そのことだけを信じて。

 幸せを得るための試練。それを乗り越えることで明日が見えてくる。誓いも固く、警察に追われつ、犯人を追いつめる。果たしてその先に待つ人物は…?いったい動機は?何を思い、何を願うのか。心理戦、頭脳戦、この勝者は果たして誰?犯人の思惑を越えて、真実に近づくとき、訪れるのは絶望か、或いは光ある未来か。今、思いも掛けぬ人物が、その目の前に現れる。

 怨みの念は果てしなく深く、精神を蝕み、地獄を現出させた。切々と語られる衝撃の真実は、言語を絶する。自分を試すために、相手を強く愛する。それが出来た人間、出来ずにいた人間。憎しみを捨て、愛に生きる。それが出来るなら、やり直せる。その言葉が通じたとき、生きる道が見えてくる。しかし、それが通じなかったとき、明日への道が閉ざされる。絶望の淵・氷の世界で見えた光は、天国への道か、地獄の炎か、明日を生きる新たな人生か…。

 命を賭けた愛。命を捨てた愛。命そのもので叶える愛。命は力。命は愛。一つの奇蹟は、一つの心を救い、新たな人生の幕を開けた。命の暖かさに氷の溶けた世界。人はそうして明日を生きてゆく。


氷の世界 第10幕(99/12/13)

 行き着く先はやはり同じ。どこまで行っても堂々巡り。金よりも大事な、彼女が男に求めたもの、それは何か。一方的な解釈で進む筋書は、果たしてどれほど的を射ているのか。それが過去に繰り返された彼女を追いつめた理由であるのかも知れない。どれだけ言葉を重ねても、他人には理解できない思いなのかも知れない。語られる過去の事実は、弱い男たちの復讐の歴史。どこまでが仕組まれたものなのか、絶望の繰り返しを歩む人生は、彼女を追いつめ、世は殺人鬼と呼ぶ。他人の不理解と怨念が幾重にも重ねられた末に生み出された呪わしき存在。それに耐えながら生きてきた彼女に、救われる未来はあるのだろうか。救いの手を差し伸べる存在は現れるのだろうか。次がないと言い切れるのだろうか。戦いは始まったばかり。七海が見つけ、問い詰めたという犯人は、まだ見えない…。

 戦いの中で見えてきた手掛かり。浮かび上がる人物の名は?進められる警察のシナリオ。四度掛けられた生命保険。悪夢は繰り返されるのか。敢えて標的となることを選んだ男の運命は、あの来るべきオープニングへと繋がるのか。伝えられた犯人のメッセージ、その思惑は一体どこに。果たして動機は?警察の目をかいくぐれる、消えたゴミ箱の携帯電話、変声器、この辺りに謎が隠されている。次回75分拡大版最終回、期待して犯人と対面することとしよう。


氷の世界 第9幕(99/12/06)

 新たな殺人は、犯人も追いつめられてる証拠。直接的な行動は、何かしら証拠を残す。それを見つけることが出来れば。。。しかし、今はまだその時ではない。未だ見えてこない犯人の存在が、凍てついた心を追いつめる。その心を共有できた者だけが、その悲しみを知ることが出来る。犯人の存在は、手の届くところに近づいてきた。死した妹が残したメッセージは、旧知の人間への強い怒り…?最初から決め付けた言い掛かり的尋問も、怒りを育てることに繋がる。洗脳を目的とした度が過ぎる尋問は、偽りの犯人を創る。度し難い捜査を余所に、果たして正体は掴めるのだろうか?

 一人の女性を見つめ続けることで、見えてくる自分の幸せ。彼女を通して、様々なことが見えてくる。だからこそ、男は彼女に惹かれていく。そこには、失うものよりも得るものの方が多いから。ワインが運んできたメッセージは、何を伝え、彼を何処へ導くのか。今、全ての謎が明らかになる!?


氷の世界 総集編スペシャル(99/12/05)

 人気ドラマには欠かせない完結直前総集編スペシャル!これを見ずに氷の世界は語れないでしょう^^。これだけ複雑に入り組んだドラマ、オフィシャルHPは見に行かない私としては嬉しい限りですな、こういうスペシャルは。要所要所で各人がまとめてはいても、こうして第三者的な視点でまとめられることは無いし、自分で纏めるのも大変だしね^^;。じっくり振り返ってみよう。

 いくつかの謎がクローズアップされていく。真犯人はこの中にいるのか、もう登場しているのか。電話の主は誰?どうも複数犯のような気がして仕方がない。どうなるのだろうか、うーむ。怪しい人間が多すぎ、しかもその全てが自分は犯人じゃないかのような言動を繰り返す。よくできてるよなホント。。。それだけ深く、本当に深い謎と愛。これからが面白くなるところだ。いよいよ犯人が表舞台に出てくる。本当にこの中か?他に居るんじゃないのか?

 インタビューとかは無かったですね。でも最後のヒントは与えすぎじゃないか?^^;どんでん返しがあるかも知れないけど…。氷にワインにアイスピック…。さて、明日はどうなるかな?^^


氷の世界 第8幕(99/11/29)

 向けられる疑いの目。無実を証明するために真犯人を見つける。そのために動き出した矢先の出来事、判断、決断。数多に重なる事件の中で、誰が何を考えているのか、それは真実に近づいているのか。思いは複雑に入り組み、わからなくなっていく。真犯人を釣る餌は、数多に存在する。でも果たして、その釣られる存在はどこにいるのか。味方を欺きつつも、真実を知ろうとする二人。徐々に真実は見えてきている。復讐、恩讐、怨念。いつの時代も、人の心が闇を生む。果たしてその闇の中に、光は見えるのだろうか。

 鍵を握る存在が語るのは、真実か偽りか。絶望が支配する世の中。永遠の擦れ違いは永劫に続く。語られる人生の断片は、語り尽くせない愛と悲しみのメッセージ。人の死は一瞬ではない。徐々に思いが薄れてゆく苦しみが残る。そして死が歩み寄ってくる恐怖がある。犯人の狙いは果たして…。

 その時…。貴方は愛する人を信じ続けることが出来るでしょうか?犯人は、その目論見を明らかとし、その存在を闇へと消した。絶望の果てに明らかとなる、その日まで…。


氷の世界 第7幕(99/11/22)

 耳を澄ませ。目を凝らせ。そう無言のうちに訴えてくるような映像、展開。明るみに出てきた過去の記録は、真の犯人を暗示するものか。一つの、強過ぎる愛情の前に、小さく平凡な愛が消えていく…。信じられるものは、果たしてどれほどいることだろう。徐々に不安が募り、不信が積み重なっていく…。疑いの目を向けられる辛さ。一人一人の、その辛さを確認しながら疑似体験していくのが、この物語の持つメッセージなのかも知れない。次は誰?そして、最後に残るのは、誰…?

 その人と同じ事を体験してみることで、その人の本質を知る手掛かりとする。その人の心に近づいていく。疑心の多くは、そんな歩み寄りが無いからこそ生まれてくる。その人を知ることで、その人を嫌いになれなくなる。人を好きになる心は、そんなことの繰り返しの中で生まれてくることも、あるのかも知れない。忘れることは、より深く愛し続けること。矛盾しているようなその真実が、或いは事件の糸口なのかも知れない。

 死ぬか、愛するか。動き出した犯人と捜査本部。次に疑いの目を向けられたのは、果たして、誰…?


氷の世界 第6幕(99/11/15)

 カラッポの人生。そんなものがあるのだろうか?深みにはまってみて、それがわかるのだろうか?それがわかったところで、満足なのだろうか?人は満足な死を迎えるために、今日を生きてゆくのだろうか?推理は、ひとつひとつ、一歩一歩その真実に近づいてゆく。

 高飛車でマイペース、だけど内面に弱さを秘める。そんな人柄に惹かれていく男がいる。辛さを隠すために、人はそんな仮面を被る。氷の世界の中に垣間見える本当の優しさ。それが見つけられたとき、それは最期のとき?優しさに包まれたとき、人は死をも恐れぬものなのだろうか?生き甲斐とは、そんなものなのだろうか?

 様々な推理が錯綜する。まだ真実には程遠いが。疑う側疑われる側、それぞれが違う角度から、真実へと近づいてゆく。語られる真実は、推理に疑問を投げかける。辛い運命を選んだ人生。この重みがあったからこそ、人は、男は引きつけられてゆく。本当にそれでいいのか。その判断も付かないまま。

 届けられた“声”は、物語を複雑化させた。いよいよ本当の真実に近づき、災厄は訪れる。


氷の世界 第5幕(99/11/08)

 火が着いた。遠い過去の忘れられぬ家と、引き返せぬ禁断の愛に。衝撃は走った。果たして、満足なのか。それとも…。何を期待していたのか。それすらも見えなくなって、物語は中盤に差し掛かる。徐々に引きずり込まれていく感覚は、苦痛ではなく快楽なのか。わからない。わからない。わからない…。

 見え隠れし始めた、様々な不穏な行動。女は、不幸を呼び込むのではなく、周囲から不幸に追い落とされた…。それはかつての過ちのため?度重なる不幸は、今の幸せをも色褪せさせる。怨念というものは、どこにも生じうる。一つの幸せが創り出す数多の不幸。自分が幸せになったときに、周りに不幸になった人間はいないだろうか?怖ろしい話である。気を付けても気が付かないこともある。気が付いたら…そのとき世界は地獄となる。

 保険金を失うことで得たもの。今はまだ、何もわからない。それがどんな形で存在するものなのか。果たして。心の葛藤が明日を決める。その決断はどんな未来を、残酷な明日を連れてくるのか。わかっていて選ぶ者はいない。しかし、何かを恐れながら、そして何かを期待しながら、人はその決断をするのではないか。命を賭して得たもの。命を捨てて得るもの。結末に何が待ち受けるのか、まだわからない。でも何か大きな、かけがえのないものが見えてくるような、そんな気がする。


氷の世界 第4幕(99/11/01)

 一度疑いの目を持つと、白を黒にしたくなる。それが人の感情というもの。感情を制御できねば冷静な判断も失われ、真実は見えてこない。そろそろその辺りがわかってきたのか、だいぶ進展有り。それにしても情報が明らかにされる、そのテンポが早い。頭使いますね。整理する次から怒濤のように次の情報が入ってくる。4人分。結構疲れるドラマかも知れない…(汗)。

 灰色を白くする情報の数々。徐々に見えてきた人となり。全ては過去の因縁に根差す。誰も好きこのんで他人を不幸に陥れるわけではない。それがわかれば、次が見えてくる。それぞれに幸せを夢見、たくさんの不幸に相見えながら、それでも人はその理想に近づこうとする。そのためには危ない橋を渡ることもある。その数が多いか、少ないか。そこにこの差が表れてくる。そんなとこではないか?でも…それでもやっぱり怖いものがある。未だどう展開が動くかわからない。どうなるかな?

 衝撃の告白は真実なのか。追いかけるものが、見えない何かに絡め取られていく…。真実に近づくことは、破滅への第一歩を踏み出すことだったのかも知れない…。さあ、どうする…?


氷の世界 第3幕(99/10/25)

 最初は自己の興味本位。でも気が付くと、魅入られて抜け出せなくなっている。そういう恐怖・心・想い。人の心を洞察するのは難しい。特に、この女性の精神状態、精神構造というのは…。一心不乱。その言葉が相応しいほどの執心ぶりはすごい。この追跡劇、未だ始まったばかり。各人の行動は、図らずも常に一点を向いている。さて…。

 もう誰も愛せない、愛さない。そう言う女に視線が集まる。真実は、そうそういくつも転がってるものでもないが、いったいどんな形となっていることか。数多の疑惑の目を向けられることは、生きていく上での重圧・苦痛となる。それを知ってか知らずか、追跡者たちの目は、行動は、少々下世話な感が否めない。全てが非現実な、冷たい冷たい氷の世界。とにかく監視者たちの「目」が恐い。作品全体の緊張感はそこから来る。それぞれの目は何を見つめ、やがて何が見えてくるのか。それを見届けて行きたいと思う。


氷の世界 第2幕(99/10/18)

 引き込まれる面白さ。ホントに目が離せなくなる。手は休み休みで内容は語れませぬな^^;。魔性。これこそが相応しき呼び名かな、やはり。魅入られる男たち。盲目の、献心の愛情、溺愛。命をも懸け、落とすほどの。怖いけど、でも一度深みに填ると抜け出せなくなれそう…。やはり私は傍観を決め込みたい。

 様々な立場から、それぞれの意図から、真実に近づこうとするオプ、刑事、そして教師。目が離せない展開。この展開は面白い。いろんな方向からのアプローチ。三者がそれぞれに断片的な情報を持つ。そしてその全てを知りうるのは、今のところ視聴者のみ。これがこのあとどう結びつき、どのように絡み合って、そしてどのような思いもよらぬ結末を導き出すのか。目が離せない。ワクワクする。展開も、そしてぶつかり合う各々の強烈な個性も面白い。頑なで我の強すぎる男と女。全く違うようで、どこか似ている、そんな存在。ホント、どうなっていくんだろう?見続けることに集中力がいるドラマです^^;。

 二度あることは三度ある。そしてさらに、まさに輪廻のように、永劫に繰り返される運命のようなものがある。次は誰?その問いが明日へと響き、その余韻は途絶えることはない…。怖いねぇ^^;。


氷の世界 第1幕(99/10/11)

 この秋最も期待してるドラマです。何でもあの「眠れる森」の脚本家だそうな^^。遂に月9にまで登場したミステリの隆盛、ここに極まれりという感じかな?^^ 出演者も好きな俳優多いし、主題歌も氷室。これは話題呼ぶでしょうなぁ^^。また内容書き留めながら想う処を語ってみることにしましょう。

 いきなりの主人公最期のシーン。そこから始まる走馬燈のストーリー。最初から死ぬことのわかっている人間の死までを描くという展開は、かつてない恐怖を生んでいくことだろう。「怖い女」と最初からわかっているのだが、果たしてどう怖いのか、それがどんな事件を生んでいくのか。それが徐々に、或いは突然にわかってくる恐怖というのは、いったいどんなだろう…?保険のオプという危険な仕事に身を置く主人公、果たしてどうなるのか…。ただひたすら「彼女」の登場、そして紡ぎ出される言動が今から怖い。こうやってどきどきさせることが、そのまま作品の魅力となり、視聴者を引きつけていくことでしょう。

 一つの事件が、些細な事件が、少しずつクローズアップされていく。それに目を付け、或いは巻き込まれていくオプとデカ。今はただひたすら「彼女」の一挙手一投足、言動の全てから目が離せない。これほど注視してしまう倒序ミステリはめったにない。連ドラという形態であることがまた怖い。「彼女」が画面に登場すると、がらりと雰囲気が変わる。画面も思いっ切り暗くなり、BGMもその恐怖のイメージを増幅している。ホント良く作られていると思う。

 「WITH LOVE」以来、パソコンの扱いが板に付いてる感のあるオプの竹野内、「眠れる森」では優しさと凄さの二面性を見せ付けてくれたデカの仲村、「秘密」では笑顔の似合うひたむきな好青年を演じてくれた金子。これに恐るべき「彼女」が出揃って役者はまずまず^^。イントロは各主人公達の過去を垣間見せ、徐々に繋がりと因縁を持っていく。未だ恐れを知らぬ登場人物たちは、「彼女」とどう関わり、どう逃げ切れぬ恐怖に巻き込まれていくのか…。そこまで踏み込んでいいのか?あとどうなっても知らんぞ?思わずそう語りかけたくなる。

 流氷の上の危なげな世界、氷の世界である現実社会。いつ瓦解するとも知れぬ薄氷の上を歩む男たちにどんな運命が待ち受けているのか。まだ物語は始まったばかり。悲しき男たちの運命の末路を見届けることとしよう。