一言書評 〜ジブリ作品の感想〜


千と千尋の神隠し(2001/07/20)

 スカパーのファミゲキことファミリー劇場でやってました「千と千尋の神隠し〜少女千尋の不思議な世界」をこの前ちらっとだけ観てまして、それで大筋の物語とかがわかった上で、面白そうだな、やっぱ観とかなきゃな、と思い、思い立ったらすぐ実行&お呼びとあらば即参上(違!)ってことで、劇場まで行って来ました。

 初日なのになめてかかって、劇場に着いたのが10分前^^;。立ち見で列んでる客とチケットで列んでる客を間違えて(汗)立ち見入場が始まってから、焦ってチケット買って、それから最後尾で入りつつ、開き直りの余裕でパンフ(600円也♪)も買ってから、立ち見と言われつつもじっくりと席を捜し、隅っこで一つだけ空いてる席を見つけてゆったりと座って観ることが出来ました^^。新宿は3ヶ所でやってて分散してたためか、結構ゆったりとしてましたね。さすがに厳しめな入替制で、2回観れなかったのは残念でしたが。観ようと思えば観れたんだけど、せっかく小さなお子さん連れが山ほど来てる中で、もう一度居座るのもあれだなぁ、という無言のプレッシャーに押されるように出てきました^^;。でもね、やっぱこれはお子さんにしっかりと観てもらいたいと思うよ!連れてきてもらった隣りに座ってるご両親が、豚にならないように注意しながらね!(笑)

 最近のアニメ作品、どうも『謎』が多い。ずーっと観ていくと、徐々にその謎も解けてくるのですが、そうするとまた新たな謎が出てきて、しかも最終話が終わってその謎が全て解けたかというと、そんなことは絶対になく、様々な議論がそこからはじまり、またそれで人気を呼び始める、というそんなパターン。制作者が作品を通して何が言いたかったのか、結局の処ぼやけていて、様々にみんな思い思いに、思いを巡らすのである。勝手な解釈も広がっていって、それが一つの楽しみになっていく。面白くもあり私も好きなのだが、いつもそれでは少々胃にもたれる。

 宮崎アニメの場合。この辺がしっかりしてる。ストレートだ。作品でも、そしてパンフレットではまるっきり生の声で、制作者側の思いを語ってくれている。インタビューなどを読めば、自分が違った捉え方をしてた部分までしっかりと修正してくれる。その内容は、私がここで繰り返すまでもなく、パンフ含め様々なメディアで訴えられているはずだ。未見な方は、劇場で観た後に、すぐにパンフで宮崎さんの思いを読み取って頂くことをお薦めする。

 今回の主人公、荻野千尋こと千は、最近多いアニメの主人公の年齢・14歳前後ではなく“10歳”である。ここにポイントがあって、実はこれ、主人公千尋の成長物語ではないのである。夢のような、不思議な体験を通して、成長していくのではなく、元々自分の中にあった強さみたいなものを引き出して、成長したように見えてくる、というのが根幹なのである。努力して成長していくヒロインではなく、今までやったことのなかったことを自分独りでやってみて、その中で言われたことをちゃんとできるようになっていく、小さな女の子の物語。見始めると2時間という時間があっという間に過ぎ去っていくスピーディーな展開も本当に気持ちよく清々しい。そんな千尋の清々しさに触れることで、自然といつの間にか周囲の人々が理解者になってくれている。釜爺、ススワタリ、リン、おしらさま、湯婆婆、カオナシ、ハエドリ&坊ネズミ、そして銭婆まで。最初は理解してくれないけど、強くしっかりと『自分』を持っていることで、自然とわかってくれるようになる。2時間の中でトントン拍子にそれが進んでいくのは、ちょっと性急だったような気もするけど、最後にはジンと熱くなるものもあるし、ラストはすっきり晴れやかだし、観て良かったなと思える作品でした^^。

 キャラクターは、やはりアニメ作品として語るべきでは無い、と思う。千尋も蛙たちも、父母や湯婆婆・釜爺に坊などにしたところで、全て声をあてた俳優さんが実写で演じても違和感無いでしょう。ただ表現技法的に実写では不可能なところがたくさんあったので、アニメーションという技法を使ってるに過ぎない、ジブリ作品て特に最近のはそう思うことが良くありますね。お父さん(内藤剛志)お母さん(沢口靖子)もいい味出してたし、妖怪婆さんの湯婆婆&銭婆も夏木マリさんが好演!釜爺の(菅原)文太さんもそのまんまでやってほしかったなぁ(笑…無理^^;)。釜爺の「愛じゃよ」という2回のセリフには場内爆笑してたし、そのまんま文太さんの顔思い浮かべれば納得の演技だし♪^^

 その中で、ハクとリンは、ジブリアニメに無くてはならない存在として光ってたなぁ^^。いつも冷静で美形で、どこか影と謎のある少年、ヒロインがピンチの時には必ず駆けつけてくれる、でも弱さも秘めていて守ってあげなきゃ!と思わせる処も持ち合わせているという出来過ぎ君的存在のハク。主人公の先輩で、いつも明るくめげずに叱咤してくれて、ホントはすっごく優しい肝っ玉姐さん的存在のリン。あ、そうそう!マスコット的存在としては、魔法で変えられちゃった後のハエドリ&坊ネズミも欠かせない存在!!絶妙なタイミングで場内に笑いを振りまいてくれてました^^。

 そして注目は全編デジタル作品ということ!もののけ姫でも一部ありましたが、今回はさらにすごい!美麗です!!最後のスタッフロール「動画協力」を見て納得!私の見知った名前でも「GAINAX」「プロダクションI・G」「スタジオディーン」「AIC」「マッドハウス」が参画。その他全てで21もの製作会社が協力してCG動画を手掛けていたのだ!いやほんと、すごいですね〜。

 10歳の少女たちに向けて作ったというのだから、作品内容もそのねらいも間違いなし!是非是非見てみて下さい!!


もののけ姫(99/01/22)

 大作の登場です。ちょうど私がネットはじめて間もない頃に公開されて観に行き、その後ネットで知り合った方たちとも、いろいろオンラインやオフで語ったりした思い出深い作品でもあります。同時期に公開されたエヴァ完結編もすごかったですが、こちらの常識外れな超ロングランには驚きを超えて呆れるほどでしたね(苦笑)。というわけで、かつての私の書き込みから、当時(97/07/29)を振り返ってみましょう(^^;。

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もののけ姫 鑑賞記 投稿者:Y.SATO  投稿日:07月29日(火)21時44分42秒

  大阪・難波で観たんですが、劇場がとにかくうるさい(^^;)。
 携帯はあちこちで鳴るは、空缶転がるは、立ち見客は出たり入ったり
 でドアはばたばたうるさいは、セリフにいらんボケ+突っ込み&注釈を
 大声で入れるは、子供は騒ぐは、親はどつくは・・・。
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 いや、ほんと圧倒されましたね^^;。かなり大阪方面への偏見も入ってますが(汗)。雰囲気的にも都内で観るのと違った感じも味わえて楽しかったりしました(^^)。

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 でも私も久々に はまりました(^^;)。クソ暑いのに汗だくで行列で
 1時間も並んで、席を確保して、スタッフロールが流れたら
 直ぐに追い出される・・・こんな映画の観方は実に0.1世紀ぶりだ(爆)。
 924席の結構大きめのとこだったけど、1日で何千人来てたんだろう?
 何か興行収益もすごいことになりそうだし。 お祭りですね、正に。
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 最近は一時間並ぶのにも苦もなくなりましたね〜。これ以降、結構劇場に足を運ぶこと増えましたし、いいきっかけになったんだと思いますね^^。

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もののけについて思うとこ 投稿者:Y.SATO  投稿日:07月29日(火)21時41分37秒

      宮崎駿さんは弱者(=少数意見者)の側の眼でものを見られる人ですね。
      モロや乙事主、そしてシシ神、みんな神なんだけど、
      正に神をも畏れぬ人間たちの手で虐げられる。
      物欲に目が眩んだ俗人ほど恐い物はない(これぞ物の怪)。
      でもこの作品では、結局全ての存在が弱者であり、
      また悪ではない、と謳ってると感じました。
      欲望に目が眩むことも弱者である証拠なのかな?
      そして大いなる存在(but弱者)によって目を覚まさせられる。
      またまたいろいろ考えちゃいました。

      #ディダラボッチ=巨神兵???(笑)
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 こちらが大真面目な方の(笑)書き込みですね^^。劇場出てからすぐ、帰りの電車待ちのホームでリブ開いて書いた文章ですので、いちばん生の声っぽいです。ディダラボッチは第一使徒アダムに似てるなぁと思ってたら、ナウシカの巨神兵が先口だったというおまけつきですが(笑)。「曇り無き眼で見定め、決める。」 そう言ったアシタカにシンクロしたかのように、この頃はやたらと深いことをいっぱい考えてた。でも、たまにこうやって想いを馳せたりするのは、いいものですね^^。

 宮崎作品には、そういう「考えさせる力」みたいなものがあります。今回はビデオにも収めたし、またいずれ観返すとしましょう。そしてまた考えるとしましょう^^。


もののけ姫(98/06/27)

 ついでにこちらも書いておきましょう(^^)。徳間作品、ジブリ作品としてはかなり騒がれましたね。騒ぎはともかく、ビデオも発売されてまだまだ人気を博してる観たいですね。しっかし、ずいぶん長いこと劇場公開してたなぁ(爆)。

 当時エヴァと同時期に観てたもんで、デイダラボッチがアダムというか巨神兵というか、とにかくそんな様な印象受けて、セカンドインパクト!って感じでした(変な感想^^;。

 確かに賛否両論(否のが多い?ナウシカの方がいいとか…)あると思うんですが、私としてはやっぱ、よかったですよー。なんというか、命。生と死。自然と人間。そして神。 いろいろ考えさせられました。下のアリオンを初めとして、いろんな作品の影響をいい意味で受けまくっていた集大成的作品だったと思います。ここでも理解し合うことが重要だっていうことが、大きなテーマだったと思います。さて、ビデオは…テレビでそのうちやるでしょうから、待ってみましょう(^^)。