一言書評 〜浅田弘幸作品の感想〜


Crazy Kouzu BC I'll SPECIAL EDITION PACKAGE(2000/10/09)

 最初にハッキリと言っておきましょう。浅田のコミックを読み続け、「いいな」と思ってきた人は、この本読まなきゃダメです(撃)。BADだねヨシオくん以来、今までコミックを通して、キャラの言葉・行動・心の動きを通して、いろんなことを伝え続けてきてくれた浅田の「A COMIC」。この中ではその全てに対して、どんな思いを込めてきたのか、その辺りのことが直接的な言葉で語られています。

 この本に収録されている、コミックスでは巻末に収録されている特別編・マイナスナンバー、物語の始まりとなったrepaint versionで収録された第1話、コミックスに収録されなかった幻の“蓮華”番外編、ヨシオくんの直後に描かれた幻のギャグ読み切り2編、そのどれを取ってみても、浅田が今までに変わらず込めてきた“想い”があり、朧気に伝わってきていたその想いを作者自らが解説してくれている。これを読むことで初めて浅田弘幸が何を語りたかったのか、その一端がわかってくるのです。やっぱり全ての人に読んで頂きたい、最近では見ることの出来なくなった最高のコミックス“A COMIC”がここにあります。マンガがつまらなくなったと言われて久しい中で、是非とも手にとってほしい一冊です。

 本編を補完する形で描かれ続けている“アイル・マイナスナンバー”、ここでは登場する人物達の過去の回想=心の居場所を描くことで、それぞれがどんな思いを胸に生きているのか、思い悩みながらも元気で前向きに頑張っていけるのか、そんなことが描かれています。その中のちょっとしたワンシーン、たった一言のセリフ、全体のエピソードにどんな意味が込められているのか、解説を読みながらまた読み返してみると、今までと違ったアイルが見えてきます。これを見た上でまた本編を読み返してみるのも良いかも知れませんね^^。

 と思ったところに、続いて第1話を収録。本編コミックスは、当然ながら本編が進む中で、合間に回想シーン的な話としてマイナスナンバーが挿話されている。でも今回新編集されたマイナスナンバー→第1話という流れが、本来の時間の流れに沿った読み方でもある。最初にこんな経緯があって、そしてこの1話でこいつらが出会う。そしてそこから全てが始まった。嬉しい構成ですよね^^。

 続いて収録された“蓮華”は、コミックス1巻のみで連載が中断している作品なのですが、巻末アンケートの中では続編を描くことも考えられているということです。この番外編だけがコミックス未収録のままになってしまったため、今回この本に収録されていますが、決して2巻が出ないわけでは無い、ということなので期待大です^^。考えてみるとアイルと蓮華、かなりジャンルもイメージも正反対的なこの2作品も、解説付きで続けて読むと、やはり浅田のコミックだな、という共通点が見つかるような気がします。名前の由来にもなっている“白い雪”というのが共通項なのかな?全ての作品に通ずる、ね。 死者の心は何処へ行くのでしょう?その問いに蓮華は“綺麗な心は、誰かの神になる”と答えた。必死で生きようとする寒薔薇の花も、きっと同じ答えを伝えているのだろう。

 最後に収録されたギャグ短編、浅田の何でもアンケート、昔を懐かしんでの収録作品紹介では、さすがと言わんばかり!めっちゃ笑わせてもらいました^^。このQ&Aは、ほんとに浅田という人間を知る意味で重要(笑)。当然のように上手いタイミングでギャグ(といいつつ切実な話?^^;)も交えられてて、やはり一度お会いしてみたいなぁと思いたくなるような感じでして、ものすごい数のアンケートでしたが、その楽しさに一気に読み進められました^^。マイナスナンバーの解説も、何故これを描くに至ったか、当時の元ネタとなった話が、またアイルの世界を広げていく感じです。もっと身近になっていく、みたいな。短編は…銚子ヨシオの頃の、無意味でぱわぁのあるあの笑いの要素のみを凝縮したような、何とも言えない作品(爆)。まあ、リハビリ的位置付けとのことですので、良しとしておきましょう(笑)。

 そして、見逃してはならないページがあります。一番最初と一番最後。立花茜と柊仁成が、それぞれに向けて書いたような、ほんの短い手紙のような言葉。本当に隅から隅まで魅力満載の構成で、やはり是非一冊は手元に置いておきたくなるコミックス。なかなか出逢えるものではありません。大切にしていきましょう^^。またこれをみて、コミックとはどんなものなのか、今一度考えてみるのもいいかも知れませんね^^。


I'll〜アイル〜(5)(98/05/09)

 やっぱ浅田さんのコミックはいい! もう誰が何と言おうとお薦めです(^^)。

 今回よかったのは、菫をなぐさめる(そうなのか?^^;)茜のシーン。泣けます。なんというか、読んでる自分も一緒に勇気づけられるんですよね〜。いったい自分は何と戦ってるんだか、なんでそんなに落ち込む必要があるんだか、ぜんぶ自分が楽しいからやってるんじゃないのか? そんなぶっきらぼうな茜の励まし(?)は、聞いてて元気が出ます(^^)。そしてその後の、昔から変わらずにいるのはいいこと、都合良く変わっちまって話も出来なくなるよーな奴よりはマシ、というのはなんかうなずいちゃいます。お互いに良い方向に変わって、それが結果的に離れていくことになるのは、つらいというか、複雑な想いですね〜(^^;。

 もひとつよかったお話は、最近ギャグキャラと化してた東本のシリアスタッチ、ヒゲダンディーとあおいちゃんの伝言板文通話(^^)。最近こういうのに弱くなってる自分を実感してしまいました(WITH LOVEといい…^^;)。かっこよかったぞ!男・東本!(^^)。続刊にも期待したいです(^^)。