リップスティック('99.4〜'99.6 月曜9時 フジ)


 脚本は野島伸司、主演は広末涼子、話題もあり期待も大きく、どちらも裏切らなかった作品だったと思います。鑑別所を舞台に描かれる様々な人々の思い。見ててほんとに辛かったけど、本当によかったと思います。次回作にも期待したいですね。


リップスティック 最終回スペシャル(99/06/28)

 前回、ビデオの設定ミスで見逃してしまったのは残念だが、遂に迎えた最終回スペシャル。次々に襲う不幸の中、どんな未来が藍たちには待っているのだろう…?

 真実を語った芸術家は、藍の頑なだった心を開いた。嘘や隠し事の無い関係、それがこの先どんな障害をも乗り越えていける力になれる…そう思った。誰よりも弱く、孤独であったために、理論武装で神に近づこうとした少年…。誰よりも優しく、真っ白な心を持っていたために、悲しい運命に死を選ばなければならなかった少女…。悲しみの真実は尚も藍たちの心を沈めるのだろうか…?

 初めて心を分かち合った友達の死は、少女たちに重くのし掛かる…。その、死の重みを乗り越えてこそ、明日を生きていくことができる。でも、藍の執った行動は、今日を命の限りとしてでも、やらなければならないと断じたからこそ…。それは許されることではないかも知れないけど、感情のままに生きようとした強さと、そして弱さの現れだろう…。自分のありのままの姿…弱さを見せる勇気。それを持つことが出来れば、それだけ人と深くわかり合うことができる。そして、そのことを通じて、人との繋がりを通じて、強さを覚えることができる。様々な別れを通じて、その悲しみの中から強さを見つけだすことができる。その想いは、深く、優しく、心から心へと伝わっていくことだろう。

 藍の最期の言葉は、心は、想いは、芸術家の心へと届いただろうか?芸術家の深い想いは、遙か遠くへと旅立った藍の下へと届いただろうか? 愛は、想いは、人の世に在ることには拘らないということ? この物語は、残酷さの中から、世に何を伝えようというのだろうか?

 命と死と、愛の深さを、芸術として謳い切ったこの作品。感じ取れるものは、人により様々。何か一つでも、得られたものがあったとしたら、それはきっと明日を生き抜く強さになる。そう思う。


リップスティック(99/06/20)

 淋しさと心の弱さ…それは誰もが持ち合わせているもの…。身体は無くなったとしても、心は永遠…。時は止められないかも知れないけど、想いだけは永遠に続く…そう信じる…。外見がもし同じになってしまったとしても、心の中までは変えられない。それは近未来を描いた作品の中で、幾度も語られてきた物語。外見上の差別は、それが無くなれば思想上の差別へと変化していき、争い・諍いは無くなることはない。だからこそ、個性を尊重し、正確に捉えた上でのお互いの理解というのは重要となる。21世紀…どうなっていくかな…?わかり合える日は来るのかな?

 自分が体験したことが不幸であればあるほど、人は優しくなれ、また他人のことがわかってあげられると思う。ただ、そのことも話し方によっては、逆に理解してもらえなくなってしまうこともある。それは難しい。他人に心を開いたがために、逆に自分を追いつめ追い込んでしまうこともあるから…。他人の理解を得ることは、時としてどのようなことよりも難しくなる。言葉を重ねても理解が得られない時…その時は沈黙の時を重ねるのも良いのかも…?

 複雑な思考と、単純で純粋な想いと…芸術は様々なところに根差す。愛でも恋でもない、遙かに深き想い…。時にそれは、呪わしき想いへと変わり、最後の審判を下す…。他人の理解が、想いが見えない絶望の孤独の中は、人が生き抜くには辛い世界…。明日は晴れるかな?その言葉に込められた想いは、遙かに深い…。


リップスティック(99/06/07)

 誰でも持ってる心のパズル。果たして組み立て終わる日は来るのでしょうか?理解されぬ想いが深ければ深いほど、時の流れは苦しく感じる…。 少年院へと移る運命…、想いが通じぬ人と共に歩く運命…。パズルが完成するとき、訪れるは破局か未来への道か…?追いつめられ、暴走した想いは光を求めて飛び立った。偽りの、傷ついた翼を広げて。。。

 期待して、ひたすら走って、そして裏切られた想いはひとつになって、大きく暖かく優しくなる…。ひとときの安らぎは、生きていく強さを覚える力になる…。力強く生きていくための勇気は、みんなの心にある…。みんながいつもそばにいてくれる。その想いがあれば、明日に何があろうと、きっと生きて行けるだろう。そして確かめ合った誓いは、藍をまた一つ強くした。一時の不理解は、より深い理解へと繋がると信じるから、生の感情をぶつけることができる。時間はかかるかも知れないけど、この願いは叶うと、そう信じてる。そう信じられれば、疑うことをやめられれば、きっと幸せはその向こうに見えてくる。そう想う心は、いつもここにあります。

 ハッピーエンドに見えた今回のラスト、次回はその天国から地獄へと堕ちていく…。悲しみは止まらない…。


リップスティック(99/05/31)

 後戻りできない辛さがある…。誰にも打ち明けられない想い…。その悲しみは言葉にできない…。永遠の大切さ。それを知る心は、過去も未来も否定する。今が大切。今が一番。今が永遠であれば…。でも、逃避の想いは何も生まない。前向きに生きていくには、過去を振り返る勇気も必要なときもある。変わらずにいるよりも、より良く変わっていくことこそ人生には大切なことだと、私は思う。それには過去に目を瞑っていては、自分を否定していてはいけない。永遠は立ち止まることではない。自分が気付かないくらいのペースで、少しずつ前へ前へと進んでいくことだ。それはときに、痛みを伴うことがあるかも知れないが…。それを乗り越えることで、人は本当の強さを覚える。

 自分の本当の弱さを知る者が、本当の強さを知る。しかし、弱さに溺れた者は、自分の幸せの檻の中に人を引きずり込む。独りでは生きていけない弱さは、自分の想い人の優しさの中でしか生きられない。永遠が崩れたと知ったとき、全てが壊れていくことを予感した藍。相手を壊さぬように想う心は、自分だけを壊すことを選んだ…。真実の理解は、永遠は訪れるのだろうか…?


リップスティック(99/05/24)

 100%の安心感はいらないけど、100人に確認したいんだ…。自分の、今一番の、最高の幸せ・充足感。お互いが心から素直に「ありがとう」と言える関係。この想いは永遠に…、時間よ止まれ…

 それぞれの悩みは違っても、みんな必死に戦っている。恐れずに、独りで…。愛する人への想いを、あるいはその死を前にして…。辛い選択を乗り越え、明日へと強く生きてゆくために…。そしてその生き方は、きっと周りのみんなの心が見守ってくれている。そのみんなの心がきっと戦うための耐える力を与えてくれる。そう信じて、人は生きてゆく…。大空へと羽ばたいてゆく。

 想像の翼を広げてゆけば、きっと明日へと飛んでゆける。全てのしがらみを飛び越えて…。果たして、藍も飛べるのだろうか…?


リップスティック(99/05/17)

 藍の心は硝子のようだ…。一見強そうで、時に輝いて見えるけど、本当は誰よりも脆い…。支えられてないと挫け、倒れ、砕け散ってしまいそう…。それも支えるのは何でも、誰でもいい訳ではない。藍の心を最も輝かせてくれる人でないと…。この恋はつらい・・・。

 手錠に繋がれたデートは、白い目の衆人が見つめる二人だけの世界。傷つくことを恐れていては、前へは進めない。嫉妬の想いは深い愛情。そこから得られた想像力という新しい力は、明日へと進む勇気になった。その勇気が見つけられなかったとき、ひとつの不幸が訪れていた…。強すぎる想いは、時に最高の幸せへと導き、時に絶望の淵へと突き落とす…。壊れないように、命の灯を絶やさないように、守っていってほしい。愛を探し求める彷徨い人は、いつも壊れかけている…。

 刹那の君を愛しく感じた…。見つからなかった、探し求めた愛しさは、今そこに…?さあ次は、藍の番だ…。


リップスティック(99/05/10)

 楽しいバーチャルデートは、心の中に安らぎを生む。実現するといいな、藍の想い。他の教官の方も悩みは多いですね。これだけの環境、これだけの問題児たち…。藍のつかの間の幸せは、恐らく長続きはしない…。でも友達は着実に増えてる。増え続ける友情が、きっと藍を守ってくれる。そう思う。

 不思議なバーチャルデート。それは二人にしかわからない時間と空間。誕生日はこの上なく楽しく過ぎ去り、そして波乱と共に幕を閉じた。家庭教師の語る藍の過去は果たして…?恋のあるていすとは藍の真実を抱き留めることができるでしょうか?

 夜語り合う二人は、まるで本当の恋人のように、想像の翼を広げ、大空へと羽ばたく。二人がそれぞれの目的の地に向けて飛び立った。物語も中盤。これからは思わぬ急展開が待ち受けることでしょう。


リップスティック(99/05/06)

 こと子供の考えの解釈に関して、知ったかぶった心理学などを引っ張り込まないで欲しい!(ぜんぜんわかっちゃいないし…) あの手のバカ女が跋扈すれば、世に愛情を見失った子供たちは増え続けるでしょう…。鑑別所をまるで動物園のように考えているから、あのような不躾な発言がポンポンと飛び出す。仕方がないと諦めるより他にないのかも知れないが、度し難いものだっ(憤慨)。

 藍との対話は、心を曝し出す契機になる…。他人のことを理解するのは、決して片方向では出来ない…。自分のことを隠しながら、相手のことをわかろうというのは虫の良い話なのかも知れない。そうして話してくれればいいけど、なかなかそうは行かない。追いつめられた人間が心を許すには、それだけの、それ相応の思いやりが必要だと思う。傷を舐め合いながら生きていく。その、ちょっと聞くとマイナスのイメージしかない言葉を、これほどまでに深く考えさせられたことはなかった…。自分では舐められないほど遠くにある傷は、誰かに舐めてもらわなければ生きていけない…。そういうこと…。心は、堅く閉ざされたまま。無理にこじ開けず、内から開かれることはあるのだろうか…?

 みんなそれぞれ、心の中で葛藤している…。でもきっと、必ず前に進めると信じる。この一粒のキャラメルのように、人の和は小さな一歩から生まれてゆく。お互いの傷が見え始めたとき、そして本当の気持ちを・心を打ち明けたとき、この物語の本編が始まった。


リップスティック(99/04/26)

 みんないろんな悩みを抱えている。人に打ち明けて、知ってもらいたいことと、自分の心の中に、留め置いておきたいことと…。少女たちの不幸は、家庭の内情が深く関わる…。心を打ち明けられる信頼は、きっと上辺だけでない優しさの中に見つかる。藍の、心を許せる親友も、目の前に現れるでしょうか?

 取り調べでの心のキャッチボールは、気持ちが暖まる。それでも、禁忌に触れれば、心が開かれることはない。理解し合うことは、それほどに難しい…。様々な形の愛が錯綜する…。そして、子供への愛情の注ぎ方を勘違いしている親の不理解は、さらに心の壁を頑なにする…。なぜ、自分の頭だけでものを考えるのか?子供の想いを感じ取れない親こそが、少年・少女犯罪を激増させる…。

 大人への怒りは、犯罪をエスカレートさせる。社会を恨み、他人を憎み、自分を追い込み、犯罪に走る…。そうしないために、人はどうあるべきか? 作品を追ううちに、見えてくるかも知れませんね。


リップスティック(99/04/19)

 オープニングで、みんなで楽しそうに砂浜を歩いてるのは、これからの未来なのか、それとも夢なのか、スタートしたばかりの今はわかりません。ただ、それが近い未来のみんなの姿であってほしい。そう思う。

 監視の目というのは「縛ろう」という意味合いが強い。決して理解しようとか、そういう前向きに相手をわかろうとする心は介在しない。そして裏切られた心も、相手を許そうとはせず、わかろうとはしない。自分に対する嫌がらせの類を相手の狭量と認識し、可哀相な人だと哀れむ気持ちに転化するのは、決して簡単なことではない。でも、無理にでもそう思い込むことで、諍いを少しでも減らすことができる、というのもまた事実である。それが第一歩となり、お互いの理解へと進むこともある、と私は思う。

 大人の目論見と子供の解釈、すれ違いはどこででも起きるようだ。誤解を生むような行為には説明があって然るべき。それを怠れば、不理解から来る憎しみはさらに深まる。何も言わなくてもわかってくれる、では済まないこともある。取り返しが付くうちに、対話することを心掛けよう。心を開いて、少しずつでも話していけば、心の繋がりも広がっていくはずだ。藍もそうして、少しずつみんなに打ち解けていくことでしょう。

 心の繋がりを求めて拾ったボタンは、ひとときのやすらぎ、そして怒りに耐える力を与えた。その心の支えを胸に、藍のとった行動はかっこよかったけど、さらに深い不理解を生んだ。キスから始まる波乱の恋の行方は…?次回もますます目が離せない。


リップスティック(99/04/12)

 期待の野島伸司新作、キャストも「聖者の行進」のときと同じく不良少女の広末と、いしだ壱成も出てたりします^^(実は三○○史はそれほど好きじゃなかったりする^^;)。非常に楽しみにしてたドラマです。

 鑑別所と、犯罪者と、天使を想う芸術家と…。最初から辛い設定の下でスタートした物語は、これからどうなってゆくのでしょう…? 始まったばかりの共同生活も、監獄も檻も鉄格子も、そして目の前で消えようとする命さえも彼女には見えていない…。ただひたすら外へ行きたくて、逢いたい人に逢いたくて、心は彷徨い続けている…。外へ、壁の向こうへ…。規則を超えてでも、それでも逢いたい人は、今何処に…? そして一方では、狂気の天才少年が暗躍する…。波乱は何処にでも待ち受けている…。

 深淵を見つめるとき、深淵もまた自分を見つめている…。物語を象徴するようなその言葉は、重くのしかかる…。抑えきれない怒りが心を満たし、決して開かれることはない…。そう思われた藍の心にも、一筋の光が見えた。傷ついた心を、翼を癒し、再び羽ばたく日は来るのだろうか…? 一歩ずつ、少しずつ、でも確実に心を開いて、光あふれる世界に戻ってほしい。

 主題歌は懐かしのレベッカ「フレンズ」。物語にほんとに合ってます^^。期待通りの作品になるかはこれからの展開次第。静かに見守り続けていきましょう。